本誌が昨年上期末に調査したSM36社トータルのパート人数(8時間換算)は13万20人。一方、正社員は4万3,153人とパートの約3分の1に留まった。75.1%というパート比率から見ても、SMにとってパートが欠かせない戦力であるのは間違いない。
●そのパートに対し、政府は厚生年金適用を拡大する方向で動いている。3年前にも政府は週20時間以上働くパートの年金適用拡大案を浮上させ、流通・サービス16団体が猛反発。結局、年金制度改革におけるこの問題は「短時間労働者が多く就業する企業への影響、短時間労働者の意識、就業の実態及び雇用への影響並びに他の社会保障制度、その他の施策との整合性に配慮しつつ、法律の施行後5年を目処として、総合的に検討が加えられる」として先送りされた。
●それが5年も経たず、再度、厚生年金の適用拡大を推進しようと動き始めた。もちろん、流通・サービス各団体は断固反対の意志を表明。事業者・パート双方に重大な影響を及ぼす施策を安易に強行しないよう要望した。日本チェーンストア協会では昨年11月、短時間労働者への社会保険適用に関する緊急アンケートを会員企業で働くパートに実施。それによると、会社の採用の仕方やそれに伴う働き方が変わってしまうとしたらパートが厚生年金に加入しなければいけない制度の見直しをどう考えるか、の問いに対して、中身を見てから考える・よくわからないと返答した人が58%、反対が19%、賛成は僅か10%だった。
●いずれにしても、これまでの経過を無視し、検討が全くなされないまま、一方的に政府が押し付けようとしているこの施策が強行されれば、流通・サービス産業全体の経営危機を招く。同時に、家計を圧迫し個人消費に悪影響を及ぼすことになるだろう。
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