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No.453-5/21

「高の原サティ」開店で分かった
京都南部・奈良の大型店で足らない足元人口

No.453号

新生マイカルは5月1日、サティ発祥の地に「高の原サティ」(写真@)を開店し、関西復帰を果たした。近隣でイオングループは先発の近鉄百貨店とジャスコが核になった「奈良ファミリー」(写真A)、「ジャスコ登美ヶ丘店」(同B)とともに強固な「三角ドミナント」を築き上げたことになるが、グループ競合は避けられない。奈良そごう跡で奮闘する「イトーヨーカドー奈良店」(写真C)を巻き込んだ、し烈な大型店戦争。不足しているのは足元の商圏人口なのかもしれない。


SM各社は都心部で小型店の開発を積極的に行っている。東急ストアは東急沿線上に店舗面積500〜600uの小型SMを開発する交渉を親会社の東急電鉄と進めていると発表した。東急沿線上にはドル箱の既存店が多い同社だが、今後さらに東急沿線上の駅前開発を強化する計画らしい。年度内には出店したい意向を持つ。


◇…今から23年前、奈良の高級住宅地に30代の女性の感性に合わせた新業態のスーパーが生まれた。「サティ」の誕生である。聞きなれないネーミングも、ビブレとともに、定着したがバブル崩壊、マイカル本体の経営破たんもあって1号店は消滅してしまった。


◇…「ふるさとに戻ったサティ」――元の場所から東に3kmの奈良・京都の府県境に凱旋した「高の原サティ」。今のところ、京都、奈良を一直線で結ぶ近鉄京都線・高の原駅前にある「サティ」が電車、クルマとも来店客をうまく引き込み、優位に立っている。


◇…サティがオープンした高の原地区は東のつくばと並ぶ「けいはんな学研都市」の一角にある。当初計画どおり進んでいれば、生駒から学研奈良登美ヶ丘駅まで開通した「けいはんな新線」が高の原を経て、東の木津まで延伸されるはずだった。しかし、首都圏への一極集中が進み、肝心の総人口が減る“少子高齢化時代”を迎え、計画そのものが棚上げ状態だ=写真E。


◇…例え鉄道が開通しても「肝心の人口が張り付かないと話にならない」――サティの想定商圏人口は、周辺をひっくるめても60万人。立地の有利性を加味したところで、独り勝ちできる状況にはない。


◇…学研都市を車で走行すると、国立国会図書館関西館や民間の研究機関が点在し、せせこましい日本をしばし忘れさせてくれる素晴らしい自然環境がある。しかし一方で、大阪の都心部でも、マンションが多数建築されている。「遠い郊外より、医療や娯楽施設などインフラが整った都心部へ」――時代の流れは、大きく変化し出した。景気回復で各店とも採用には苦労しているが「お客不足」だけは、いかんともし難い。


今週の目次




SJ決算レポート GMS篇

9社中5社が増収増益、ダイエーは大幅減収
 営業利益では西友、ヨーカ堂も増益に


SJ新店レポート

初の小型店を駅ビル内に出店
 クイーンズアイ藤沢
人口急増の都心型SM、「医療・スポーツモール」の機能も
 デイリーカナートイズミヤ細工谷店
コンビニタイプの2号店、メトロ駅ビル1階にオープン
 オモ キノクニヤ ベルビー赤坂店
英国テスコ2号店も居抜き出店
 テスコエクスプレス砧店
新丸ビル地下1階に中型店をオープン
 成城石井新丸ビル店


関幸雄の流通コラム 流通戦略アドバイザー

地方SMや専門店の方が定着率が良いのはなぜか


流通業界版「間違った日本語」・その23(株)島田研究室・代表 島田陽介

「繁盛」その3


今週の業界トピックス

イオン 電子マネー「ワオン」の利用店舗を拡大中
日本スーパーマーケット協会 標準クレートの共有化、SM数社で導入予定


今週の開店情報一覧


企業動向 伊藤園

タリーズブランド2品を首都圏CVSの1都6県で


食品マーケティング

冷食、国産と輸入から見た商品開発
植物性乳酸菌飲料第二波へ
カゴメとデルモンテの新戦略


今週の大店立地法公示速報


東洋の名言


交差点

SM大変。大手が先越す



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