≫ウィンドウを閉じる


No.479-12/3

11月30日「街づくり3法」完全施行
...法律が後から追いかけてきた

No.479号

大型店の出店を規制する「街づくり3法」のうち「都市計画法」が11月30日に改正され、名実ともに「3法完全施行」となった。地方の郊外では用途地域でも変えない限り、原則1万u超の店舗はできなくなったが、「もう、そんなに好立地はないし、ただでさえ競合で青息吐息。これからは都心部の小型店出店に力を入れる」とするスーパー幹部。こんな現実論をよそに、「法律が後から追いかけてきた」のが本当の姿なのかもしれない。


「消費税増税」論議で、かすんでしまった「街づくり3法」


11月23日、滋賀県野洲市にイオンのスーパーセンター野洲店が開店した。JR野洲駅からは西北に4km離れた新興住宅地にあり、売場面積1万u余、駐車台数957台と小ぶりだが、食品から衣料、ホームセンターグッズまで幅広く品揃えされている。


「ワンフロアで買い物できるから便利です」と乳飲み子を抱えた若い主婦は、スーパーセンターの開店を率直に喜んでいた。車で15分の守山や近江八幡まで出掛けなくて済むのも助かるという。平野部ではあまり雪は積もらないが、冬場はスタッドレスタイヤが不可欠の湖東地方。カーピットでは、タイヤを値踏みする人や交換のためにピットインする車もあった。


野洲市に隣接する守山市で11月2日にオープンした平和堂・フレンドマート守山水保店(P6〜9のSJ新店レポート参照)は、JR守山駅から直線で約4km北西の湖岸寄りにある。イズミヤとイオンのスーパーセンターに挟まれるが、中間点にくさびを打ったのは、滋賀の雄・平和堂だからできたことだ。ニュータウンの入口に隣接する立地だが、駅からのバス料金は450円もする。


イオンのスーパーセンター野洲店の立地は、2004年10月に野洲市と合併した「中主(ちゅうず)町」が前身だ。大型店ができれば、固定資産税が入り、その市町村は潤う。「街づくり」とは言いつつ、もはや“陣取り合戦”は終結期にある。消費税増税でもあれば、結果的に国や地方にお金を落とす大型店が重宝され、商店街の再生などは、ますます遠のく。


華やかな出店とは裏腹に、駅までのバスの便が悪く、車抜きには生活が成り立たない地方都市。「街づくり」の基本である、インフラの整備は止まったままだ。京都・大阪の通勤圏内にあって人口が増え「元気印」とされる守山・野洲市でもこの有様だ。他の地方は押して知るべし。完全施行の法律も厳しい現実の前には、趣旨を生かせないままだ。


今週の目次




SJ新店レポート

町主導のNSCの核店舗、600坪SM
 たいらや芳賀店
スーパーセンターに挟まれた小型店
 平和堂・フレンドマート守山水保店
地域に密着した600坪の標準店
 ベルク深谷稲荷町店


今週の開店情報一覧


今週の業界トピックス

長崎屋 代表取締役副社長にドンキの関口氏が就任
セブン&アイ・ホールディングス 通販サイトを運営する新会社設立
大丸 東京店を移転増床して11月6日開業


チェーンストア・コンビニ10月度販売概況

気温高い日続き、秋物商材苦戦
 SMはかろうじて既存店プラス


クレーム・トラブル対応と解決のコツ3小澤信夫

クレーム発生の法則と処理・解決10の原則


ディベロッパー&メーカー情報

東京建物・三井不動産・森トラスト 東京のオフィス街で数多くの再開発が進行中
中国醸造 水割り芋焼酎『達磨 黒麹』


食品マーケティング

食品値上げと需要安定化への攻防
 量、入り数減少など対策も目白押し
ニチロ国内全工場の品質、安全システム強化(本社と直営工場でシステム連結)


今週の大店立地法公示速報


東洋の名言


交差点

情報公開で業績アップ



≫ウィンドウを閉じる