「景気に薄日が差し始めた」とされたのは、いつのころだったのだろうか。原油価格の高止まりは、まずガソリンや灯油価格の上昇という形で表れた。次に控えていたのが、原材料の高騰に伴う製品価格の値上げだった。所得が伸び悩む中での生活必需品の値上げは、消費全体の減退につながる深刻な問題だ。地球温暖化の影響か、震え上がるような寒さはなくなったが、「懐の中は、寒風が吹きすさぶ」といったのが、正直な“生活実感”かもしれない。
こうした状況を受けて、スーパー各社は独自の「値上げ回避・暮らし応援キャンペーン」を展開している。関西を中心に展開するイズミヤでは1月7日から2月29日まで、83店舗で食料品と日用品の合わせて300品目の価格の据え置き、または値下げ販売で対応している。キャッチフレーズは、ずばり「値上げSTOP宣言」。NB商品は「味の素 ピュアセレクトマヨネーズ400g」318円を198円に、「日清オイリオ ヘルシーリセッタ600g」732円を498円に据え置くのをはじめ、チーズ、納豆、洗剤など210品目を選んだ。PBではしょうゆや酪農牛乳など「good−i」90品目が対象となる。
「ええもん安い」という大阪らしい直接的な標語を企業理念とするイズミヤ。「関西深堀」で、スーパーセンターや小型店などの出店にも積極的だが、1月8日の取締役会で中国・蘇州市への出店を決めた。国内マーケットの縮小や競争関係などを踏まえた総合判断という。イオンもオリンピック景気に沸く中国で多店舗展開を打ち出している。外資の国内進出が懸念された時代とは状況が一変、将来性のある市場を求めて、グローバルな展開が始まった。さまざまな形のM&Aも予想される。今年はどのような“サプライズ”が流通業界を待ち受けているのだろうか。
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