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No.486-1/28

生協は個配事業が成長するも、店舗事業の改善が鍵

(写真はかながわコープのコープすみれが丘店)

No.486号

今年度の予想だが、生協全体の個配(個人別宅配)事業は前年比2桁成長を続け、供給高は8,500億円を超える。初めて班配事業(7,300億円)の供給高を超える模様だ。一方、生協全体の店舗事業の供給高は前年に比べ横ばいで1兆円、既存店ベースではマイナスとなった。今年度の出店は29店。地価の上昇や建設コストアップなど出店環境は厳しく、出店用地も他のチェーンスーパーとの競争にさらされて難しくなっている。店舗事業で赤字となっている生協の改善が最重要課題だ。


日本の生協全体の年間供給高(売上高)は2兆5,800億円と巨大だ。このうち店舗事業は1兆円、無店舗事業は1兆5,800億円の内訳となっている。無店舗事業のうち、長らく生協の礎として支えてきた班配(共同購入)事業は成長がストップし、変わって17年ほど前から取り組み始めた個配(個人別宅配)事業が毎年のように2桁成長を続け、ついに今年度(2008年3月期)は個配事業が班配事業の供給高を上回る模様だ。


「10年後、20年後を見越した生協のあり方を今から議論し、その形を作っていくことが必要」と日本生活協同組合連合会の山下俊史会長。「2008年はいろいろな意味で歴史が変わる年になる。今年4月から施行される改正生協法を咀嚼して、将来に向けた生協の体制を作り、日本の社会システムの中でどうやって支えていくのか…」と語る。


年間1兆円の供給高を目標とする個配事業。その成長は、スタート時に比べると若干陰りが見え始めている。「個配がいつまでも成長を続けるとは思っていない。少子高齢化で、人口だけでなく世帯数も今後は減る状況の中にあって、このままの状態のままではいつかは成長がストップするだろう」と日本生活協同組合連合会の矢野和博専務理事。新たな取り組みが急務となっている。


「生協全体で赤字となっている店舗事業を何とか黒字の事業にすることが待ったなしの状況になっている。それには各県で隣接している生協を連合帯として強固な組織とし、連合帯の中で責任を明確化していくことが求められている」(山下会長)。経営破綻寸前までいったコープさっぽろは見事に経営再建を果たしつつあり、道内の連帯の動きも完了している。コープさっぽろの教訓を活かして、他の生協の生き残りをかけた戦いが始まっている。「我々が努力しなくてはいけない余地はまだ充分残されている」と山下会長。生協の改革がようやくスタートした。


今週の目次




チェーンストアの危機管理対策@

忍び寄る「ノロウイルスの恐怖」
 初動に手落ちがあったために起きた悲劇


SJ新店レポート

小型店活性化戦略店の第2号店
 いなげやina21練馬東大泉店


チェーンストア9月期決算

増収増益はマミーマートとPLANTの2社
 マルキョウは減収減益、カウボーイは赤字


2007年のショッピングセンター業界の動向

2007年のSC開設件数は前年より10件増え89件に
 4万u以上の大型SCが減少し、平均規模は6%減


今週の業界トピックス

キンカ堂 直営の食品売場を完全撤退


今週の開店情報一覧


関幸雄の流通コラム 流通戦略アドバイザー

スーパーマーケット企業の盛衰は社長で95%決まる


企業価値向上へ 日本ハムグループ08商品・販促説明会

シナジー発揮で高付加価値商品の取り組み強化
 量販チャネルに3月から「北海道 プレミアム」13アイテムを発売


企業動向

日清フーズ、昨年11月のパスタ値上げは需要に響かず


食品マーケティング

冷食、値上げの攻防の中 新商品発表相次ぐ
 ニチロ、市販冷食の半数が「お弁当カテゴリー」で提案
 ニチレイフーズ、新商品とリニューアルで素材にこだわり
 日清フーズ、パスタ市場の重点強化へ


今週の大店立地法公示速報


交差点

マルエツもトップバリュ販売



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