安くておいしいものに、人は群がる
4年前に北京を複数回訪問したことがあるので、頭の中である程度「変化のシミュレーション」はできていた。だが、その思いは北京空港に着いた途端、打ち砕かれてしまった。昔の面影が全くなくなるまで、完全に変身を遂げていたからだ。これでは、初めて来たのと、なんら変わらない。
見学したスーパーの店内では、もっと驚いた。有機野菜、焼き立てパン、スィーツコーナー、日本の最新店と、どこが違うのか、表面だけ見ると、よくわからない。ドッグイヤーがチャイナイヤーと名を変えて、眼前に展開している。
「日本で言うと、昭和何十年ぐらいかなー」「まだまだ、ここがダメだ」――中国の一面を見て、そんな意見を述べる人も多いが、この国を、そんな尺度で測れば大いに誤る。セブン-イレブン(北京)の牛島章総経理も同じようなことを指摘されていたが、同感である。
街中やスーパーでは、豪華なベビーカーを目にした。一人っ子がますます大事にされていることがわかる。同時に、車イスも多く見かけた。これは、4年前にはありえなかった光景である。パラリンピック開催で、障害のある人にも一気に目が向けられたからだという。
「冷えたのを下さい」とわざわざ言っても、やや冷えが多かったビールは、ギンギンに冷えていた。平地が多い北京の街では、電動自転車が幅を利かせていた。ゴミ箱は分別タイプに変わり、レジ袋が有料になっていた。
スカート姿が増え、ブーツは当たり前。車は軽自動車がないので、すべて大型で、高級車に見える。クラクションを鳴らす回数が以前の1/10ぐらいに減っていた。地下鉄に乗ったら、車両の中で若いお兄さんが雑誌を売りにきた。「ああ、ここには以前と変わらぬ中国があった」。店舗見学に、ぜひ中国を加えてほしいと思う。「他山の石は、輝いていますよ」。
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