同じ関西にありながら、これまでほとんど交流がなかった神戸と奈良。140年余り前に神戸港が開港した新しい街・神戸と1300年前に5万人もの人口を数えた平城京など古都のたたずまいが多く残る奈良の新しい関係を鉄道が橋渡しする。
神戸は14年前の阪神大震災で壊滅的な被害を受けた。横浜と並んで日本を代表する港だった神戸港のコンテナの取扱量は世界で38位と低迷したままだ。一方の奈良は古都にあぐらをかいて何もしないいわゆる「大仏商法」が習い性になっていたが、2010年(平成22年)に「平城遷都1300年祭」を盛大に祝う。
奈良は京都以上に古い文化財に恵まれていながら、観光や商業面では遅れを取ったが、その分、静かな環境は残った。片や神戸は、ダイエーやコープこうべを輩出した“進取の気性”に富んだ街である。最古参と最先端の街がコラボできれば、沈滞久しい関西経済に新たな流れをつくり出すことができる。
阪神なんば線の開業に合わせて、阪神甲子園球場が大改装され、春の選抜高校大会が開催されている。隣接のららぽーと甲子園では子ども向け職業体験テーマパーク・キッザニア甲子園もオープンした。ここにもイトーヨーカドー甲子園店が核店舗で入っているが、奈良店との「協賛セール」などは開催していない。
大阪と神戸の間は阪神間、大阪と奈良の間は阪奈というが、神戸と奈良の間を称する言葉はこれまでなかった。これからは「神奈間」と呼ばれる時代が幕開けする期待が高まるが、知恵を結集して取り組まないと、せっかくの「一本化」も不発に終わるかもしれない。
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