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No.579-1/11

超高齢化を迎えた埼玉県秩父市で、SM同士が競合

No.579号

  2009年11月20日(金)、ヤオコー秩父上野町店が埼玉県秩父市にオープンした。「道の駅ちちぶ」の隣の敷地、太平洋セメントグラウンドの跡地に建設されたSC「ウニクス秩父」の核テナントとして営業開始。同店は国道140号線と国道299号線が接する交差点近くに位置する。秩父市内には創業261年の歴史を持つ八尾百貨店があり、スーパーではベルクが4店、ヤオヨシが1店営業。人口僅か7万人弱、高齢者の比率が極めて高い市だが、新店のオープンで競合関係に大きな変化が出てきた。

デフレの克服が最大の課題


  今から125年前の1884年に起きた秩父事件は、現在の秩父市で政府に対して農民が起こした武装蜂起事件。その当時も現在と同様、デフレスパイラルが発生し、深刻な不況が続いていた。1882年から1883年にかけて、世界的に生糸価格の大暴落が発生。養蚕業が盛んであった秩父地方は、この影響を受けて困窮に陥る農家が続出し、ついに不満が爆発した。


  秩父地方は埼玉県の北西部にあり、群馬県・長野県・山梨県・東京都と接している。市内の面積は578kuで、埼玉県全体の15%を占め、市域の87%が森林、盆地を形成している。2005年4月には吉田町・大滝村・荒川村を吸収合併して、一時は7万3,000人を超える人口となったが、その後も毎年人口が減り続け2009年末では7万人を割っている。深刻なのは65歳以上の高齢者の比率が26%を越え、超高齢化が加速していること。秩父市では他市からの移住計画を進め、人口増と若年化を図るが、思うような成果は得られていない。


  市内には、歴史のある八尾百貨店が君臨し、ベルク発祥の地でもある。また、かつてはキンカ堂がA館とB館の2館体制で営業していたが、2008年1月にB館は閉鎖、食品売場だったA館は現在、衣料・雑貨売場となっている。地場スーパーのヤオヨシも市内や周辺で数店を展開する。


  昨年11月にヤオコーが秩父大野原店に続く市内2店目の秩父上野町店をオープンしてから、市内の小売環境が変化した。いつ脱出するかが見えないデフレスパイラルに対して、125年前に過敏に反応した秩父市では今、同じデフレ状況の中でスーパー同士が競合している。まさに日本の縮図とも言える場所だ。


今週の目次




2010年 小売団体トップの年頭メッセージ

日本スーパーマーケット協会 会長  川野 幸夫 氏
社団法人日本セルフ・サービス協会 会長 横山 清 氏
日本チェーンストア協会 会長 亀井 淳 氏
日本ショッピングセンター協会 会長 木村 惠司 氏


SJ新年社長インタビュー

清潔感、豊富感、爽快感、安心感の「四感王」を徹底追及
 マルエツ代表取締役社長 橋 惠三 氏


SJ新店レポート

3年振りの新店となる高質SM、駅南口で営業
 三浦屋武蔵小金井店
定着したアルク。スーパー本来の商品提供続け店舗展開
 丸久・アルク徳山中央店
典型的な少子高齢化・団地立地の活性化モデル
 コープかながわ相模台店


チェーンストア・コンビニ11月度販売概況

GMS、SCは1割弱のマイナス、SMも過去最低の落ち込み


MDフラッシュ


新刊案内

「お店のクレーム解決力」 小澤信夫 著


今週の開店情報一覧


業界展望

2010年は業態の再構築が待ったなし国内CVS各社


新連載 カスタマー ディライト・1 小澤信夫

非凡なサービス、ホスピタリティは伝説となり新たな顧客を創造する


清水信次の「やれば、できるんだ」我が流通人生の軌跡・14

教えてもらった「優先外貨枠」商売


ハマさんのコーヒーブレーク・70 コラムニスト 浜本經道

消える桜前線


今週の大店立地法公示速報


交差点

「心理不況」から脱しよう



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