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No.581-1/25

CO2の排出量を明記した特別栽培米、
トップバリュで販売開始

No.581号

  「ねえ、ねえ奥さん、カーボンフットプリントって知ってる?」「何よ、それ」「テレビのニュースでやってたじゃない。特別栽培米とか」「これがそのお米なの?」――そんな主婦の会話が聞こえてきた滋賀県草津市の草津サティの店頭でのひとコマ=写真。地球温暖化で削減が叫ばれているCO2を、生産から販売まで、どの段階で、どれだけ排出したのかをグラフで表したイオンのPB「トップバリュグリーンアイ 特別栽培米コシヒカリ 4kg」が1月15日から全国に先駆けて販売された。カーボンフットプリント(CFP)は直訳すれば「炭素の足跡」。デフレで安いものばかりに目がいく中でのスタートだけに、まさに“始めの一歩”の試みだ。

目先の生活防衛から脱却、知名度向上がカギ


  商品の原材料から加工段階、流通、消費、廃棄、リサイクルまでの各段階で発生するCO2排出量を数値化し、記載するのが「CFP」。目に見えない存在を「見える化」し、履歴を付けて販売する試みだが、「新手の金融商品?」と間違った人がいるぐらい馴染みのない存在だ。


  4kg・1,780円の滋賀県産・特別栽培米。琵琶湖北部で生産され、100戸以上の農家から提供してもらったデータをまとめたのは、立命館大学の学生だ。作る段階で最も環境に配慮した買物をするために、カーボンフットプリントの普及が望まれるが、CO2が何gという表示だけでは分かりにくい。「データの集計が大変。みんなに知ってもらうには、知名度が低ければ、意味がなくなる」とイベントで発表した。


  では、CFPが普及すれば、どんないいことがあるのか?@どの商品が環境にやさしいのかA自分たちの食生活がどれくらい環境に負担をかけているのかBどうすれば減らすことができるのか――を知ることができるとされる。いわば「消費者主導」のCO2削減だ。


  地球温暖化を防止するためにCO2の少ない商品を選ぼうと思っても、どの商品のCO2が少ないか、分かるものではない。国際公約にもなった日本のCO2削減目標。言うはやすいが、実現は容易ではない。


  とくに価格一辺倒の時代、環境に配慮した商品を拡販するのは地道な努力が必要だ。自らも店頭でPRしたイオン椛島(かわしま)裕美枝・グループ商品最高責任者付は「イギリスのテスコなどで熱心に取り組んでいるのに啓発されて3年前から始めた。試食販売なら人は集まってもらえるが…」と息の長い運動を目指す。


  2月9日から東京でカーボンフットプリントの国際規格ISO14067の会議が始まる。そのタイミングで販売された今回の特別栽培米は「農薬を使わない分、米が頑張って生育し、おいしい」という。1月末からは近畿2府4県を中心に、全国で販売される。


今週の目次




SJ新年トップインタビュー

世界的な視点で食糧問題を考える必要が迫っている
 サミット社長 田尻 一 氏


SJ新店レポート

山間の町に落ち着いた配色のディスカウント店がオープン
 マックスバリュ西日本 ザ・ビッグ周東店
明るく楽しく感動する店づくりで高質SM路線を堅持する
 サンシャイン オリビオ
同社初のオール電化を建替店に導入
 ピーコックストア白楽六角橋店


SJチェーンストアの危機管理シリーズV@

新型インフルエンザとノロウイルス
 新型インフルまん延で、手洗いや手指消毒が習慣化
 ノロ発生減らす効果も


MDフラッシュ


今週の開店情報一覧


今週の業界トピックス

大黒天物産 中部・東海・北陸にも進出を表明
日本生活協同組合連合会 「第11次全国生協中期計画」を策定
イオン カルフールとのライセンス契約終了後も店舗は継続
ウォルマート・ジャパン、経営体制を強化


企業動向

味の素、2010年春季商談会を開催(上)


清水信次の「やれば、できるんだ」我が流通人生の軌跡・16

「国策研究会」で始まった政界との交流


新連載 カスタマー ディライト・2 小澤信夫

サービス、ホスピタリティの語源を探る


今週の大店立地法公示速報


交差点

虎穴に入らずんば



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