「北野エース」を語る上で、その品揃えの豊富さははずせない。100種類近くある醤油に、味噌。デザート類や日配も普通のスーパーではお目にかかれないような珍しい物ばかり。日本酒やワインも充実している。そして、なにより特筆すべきはレトルトカレー。表紙でも触れたが、調布パルコ店のレトルトカレーの棚は壮観だ。一見したところでは、スーパーになぜこんな本棚があるのかと、惑ってしまうほどの圧倒的な存在感がある。
もともとエースは兵庫県伊丹市が発祥の地で、阪急沿線の駅近くに出店する「ごく普通のスーパー」だった。関西スーパーなど早くに上場を果たした各社の後を追いかける日々が続いていたが、小型の上質な店舗を駅ビルやデパートに展開することをきっかけに、ブレークし“西の成城石井”と称されるほどにまで成長。さらにデフレ不況の波と同時にスーパー各社の大型出店が減る中で、逆に昨年からの出店は加速度を増し、2009年に8店舗、2010年には調布パルコ店を含め大阪、福岡、とすでに3店舗を出店。4月末までにさらにもう2店舗を出店する。
消費者からのデフレを歓迎する声はまだまだ消えてはいないが、エースのように高価格の商品を扱う店舗が好調であるのも事実。もちろん高価格の商品が売れるためには、他の商品にはない魅力がなければならない。エースではバイヤーが仕入れたものが、そのまま店頭に並ぶのではなく、店長がバイヤーの仕入れてきた商品を見てどれを店頭に並べるか決めていく。調布パルコ店では8割以上の商品が店長の判断で導入されている。もちろんその分、店長にかかる負担は大きくなるが、消費者の傾向がますます多様化している現在の状況では、日々顧客を目の前で見ている人間にしかわからないことが多いのではないか。
「ブランドがないのがブランド」とエース統括事業本部店舗開発室開発担当の栗田佳敬次長は話す。無個性ということではない。誰かに決められ、用意された個性は『北野エース』にはなく、店舗自らが、その地域、店舗にあったオリジナルの個性を作り出し、消費者を飽きさせない品揃えを実現する。今の時代、多くの物があふれ、人はそれぞれの価値観を持つようになった。そんなオリジナルの価値観に応えるには総体的な戦略では難しい時代になったのかも知れない。
「首都圏で売上100億円」を目指す『北野エース』。デフレスパイラルに変化の一石を投じる「エース」となることができるか。今後の成長が楽しみである。
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