≫ウィンドウを閉じる


No.598-5/24

「食品1階のスパイチ」にこだわる
関西スーパー、長崎屋跡に居抜き出店

No.598号

  大阪と奈良を結ぶ境界線にある生駒山。大阪側の裾に広がる東大阪市の近鉄瓢箪山駅の西側約400mに関西スーパー瓢箪山店が4月3日にオープンした。旧長崎屋のラパーク瓢箪山の跡に入ったもので、地下1階だった食品売場を使用せず、地上1階部分だけを借り受け、最新の食品スーパーによみがえらせた=写真。近鉄奈良線と外環状線と呼ばれる大動脈(国道170号線)が交わる好立地だが、両者で北と西の商圏が分断されてしまっているのは致し方ないところか。SCの2階部分にはすでに家具チェーン最大手のニトリが入っており、相乗効果で集客が見込める。

「地下食品」は過去のもの。地上1階に上げて売上もアップ


  デパートでは水まわりやガス、電気などの設備が上階に設置することに比べて低コストなことや、地下鉄駅や地下街と直結する「デパ地下」の集客効果があるとして健在だが、スーパーでは「地下食品売場」は過去のものになりつつある。


  例えエスカレーターはあっても、日頃の買い物に「上り下りするのはおっくうだ」というお客の声が多いためだ。デパートでの買い物は食料品といえども非日常のシーンだ。これに対して、食品スーパーは「地域の冷蔵庫」の役目を担うため、高齢者にとっては重い商品を抱えての上下動は苦痛そのものでしかない。という訳で、「スパ地下」から「スパイチ」に時代は変化した。


  関西スーパーは2008年7月、老朽化した伊丹ショッピングデパートの地下にあった駅前店を1階に移設、地下をレンタルビデオ店やフィットネスクラブに貸し、大幅に売上を伸ばした実績がある。


  天井高は旧店舗のままで、開放感を演出するのに苦労している。床工事にある程度の深さが必要なセラミック床が使えないことや、冷蔵ケースの排水のために床に若干の勾(こう)配が必要な点など、最新の設備を導入した瓢箪山店にも居抜きならではの問題が付きまとう。


  225台ある駐車場はタイムズが運営している。平日で1日の最大料金が600円、土日でも800円と格安。狭い駅前には車を乗り入れる余裕もないため、パーク&ライドの駐車場として利用する人もある。1km圏で4万人もの人たちが住む人口密集地。万代など強力な競合店がひしめく中で、関西スーパーの戦いぶりが注目される。


今週の目次




通羅針盤


SJ決算レポート(SM篇・上)

ライフやマルエツなど中長期的な成長目指す
 2009年度は単価下落が響き、既存店売上が大苦戦


SJトップインタビュー

1円共感宣言をブラッシュアップし「共感創造経営」を推進
絞込みと単品量販で人時売上高を飛躍的に伸ばす
カスミ社長 石原 俊明 氏


SJ新店レポート

大型店できぬ時代のSuC「集大成店」
 イズミヤスーパーセンター広陵店
新戦略を具現化した最小店、将来担うフォーマットへ期待
 東急ストアフードステーション大倉山店


今期開店予定(中)


今週の業界トピックス

ダイエー GMSからの決別を宣言し、黒字転換狙う
JR東日本リテールネット 駅ナカコンビニで寄付つきヘルシー食を販売
ミニストップ 30周年の純金ソフトを抽選でプレゼント
ドン・キホーテ オリジナル和菓子や4,900円スーツを発売


関幸雄の流通コラム 流通戦略アドバイザー

商人の心のない店にはお客様は来ない、川野トモさんの著書「商いのこころ」に感銘


国分 焼酎展示唏酒会 得意先1,000人招待で盛り上がる

88社が味アップで競演、低調の乙類の低迷打破へ


企業動向 イオン、中元早期購入にワオン・ボーナスポイント

味の素は中元・歳暮ギフト市場縮小へテコ入れ図る


食品マーケティング アクリフーズ「冷食売場に活気を」期待

※お弁当・食卓向けから〜小腹が空いた時のメニュー強化
※夕張工場産から「夕張メロン当てキャンペーン」7月5日まで実施


清水信次の「やれば、できるんだ」我が流通人生の軌跡・33

家に来た「借金取り」に恨み骨髄


食材ノートコラム・35 タケノコ


今週の大店立地法公示速報


交差点

手を組むスタバとAGF



≫ウィンドウを閉じる