JR吉祥寺駅の1日の平均乗降客数は28万人。駅から南に200mほど下れば約38万uの敷地が広がる井の頭恩賜公園があり、駅の高架下にある吉祥寺ロンロンは「公園帰りのショッピング」をキャッチコピーに40年間営業。1日の来館者数は11万人、うちレジ通過客数は6万人。食品中心に人気の高い商業施設だった。
その吉祥寺ロンロンを全面改装してアトレ吉祥寺が誕生した。延床面積は約3万2,200u。218店の総店舗数は吉祥寺ロンロンの238店より減り、店舗面積も以前の1万3,200uから約1万2,400uに縮小。その分、通路幅を広げて休憩スペースを増やした。年商目標は276億円。2008年度実績の274億円とほぼ同じだが、2005年度の334億円と比べると60億円近いダウンを想定する。
高架下の施設のため横長で、端から端までは400mもあり、天井高も2m強と低い。これをカバーするため、館内は遊歩道を意識した、歩きやすい導線で街との一体感を演出した。ただモノを買う場所から、ふと立ち寄りたくなる場所へと、コトを重視したサービスを提供する。コンセプトは「私のいつもを満たす場所」。「a+プロジェクト」と名づけて、年間400回以上のイベントを館内の至る所で開催し、コンサートやアートイベント、各ショップによる料理教室やフラワーアレンジメントのワークショップなど体験型の催しを企画していく。
売場は3フロアに分かれ、地下1階と2階は衣料や雑貨、飲食・サービスのショップ。1階は「きちきち」と命名した食品物販ゾーンで、以前から営業してきたザ・ガーデン自由が丘は内装を一新して新たに酒売場を導入。その近くには生ハム中心にイタリア食材を扱うイータリーや今回アイスコーナーを初導入したグロサリーのディーン&デルーカが営業する。生鮮3品を扱う各ショップはロンロン市場とネーミングして共通レジを配置し、昭和のレトロなイメージを演出。吉祥寺大通りを挟んだ東館には成城石井も出店。この他にも注目されるショップがずらりと並ぶ。ワクワクするような高架下の商業施設だ(3〜5頁に関連記事)。
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