No.625-12/20
紀ノ國屋、東京駅ナカに新業態出店
（JR東日本傘下で経営再建へ）
創業100周年を迎え、再び輝きを取り戻すべく、JR東日本傘下で動き始めた（株）紀ノ國屋は東京駅構内1階の新幹線乗換口前広場に面するノースコート「グランスタ ダイニング」の一角に「キノクニヤ アントレ」を12月4日オープンした。同店は“懐かしくて新しい”をテーマに厳選したこだわり商品を販売するセレクトショップだ。東京駅限定のPB商品、東京を代表する銘店とコラボレーションした弁当、世界の中から厳選されたワインなどが並ぶ。
駅ナカニーズを捉え、ノウハウ構築へ
JR東日本は収益貢献と顧客の利便性向上の両面から駅施設を活用した商業ゾーンの拡充を積極的に進めている。特に利用客の多い首都圏の駅では矢継ぎ早の設備投資がなされている。東京駅改札内では一昨年、八重洲北BFでの「グランスタ」、本年3月に丸の内南サウスコートの「エキュート」、今回はノースコートの「グランスタ ダイニング」が誕生した。東京駅では丸の内側の大規模な駅舎建て替え工事や八重洲南口の改装工事も進んでいる。
今後もこのような改築、改装が大型ターミナル駅で促進されれば、駅舎が周辺最大の商業施設になる可能性が更に高くなる。今後の事業展開上、JR各社は商業スペースのリース業だけではなく、自前の各種小売業を傘下に持ち、経営に参画する意欲が旺盛になっている。JR東日本の紀ノ國屋買収はその一環であり、同社の持つストアイメージがJR東日本の求めるコンセプトと合致したことで実現した案件だ。JR東日本の支援を受け、経営再建に取り組む紀ノ國屋はまだその緒に着いたばかりで、成否を論じる段階ではないが不振店のテコ入れに力を入れると同時に、小型店の出店に活路を見出そうとしている。
今回、グランスタ ダイニングに出店した「キノクニヤ アントレ」はJR東日本傘下入り後の1号店で、アントレとしては5店目の小型店。2011年3月期までに都内の駅周辺に小型店2～3店の出店を予定している。20～30代の女性を対象とした今までの小型店とは違い、1号店はビジネスマンや旅行客を意識した高価格帯の弁当（1,000～2,000円）や銘店ギフト、高級ワインなどを前面に打ち出している。店舗面積は103㎡、営業時間は6:30～22:30。店舗は木を基調とし軽快さを全体的に表現しながら、古き良き懐かしい重厚さを組み入れている。空間プロデュース、商品パッケージデザイン、設計には著名人を活用している。
菅野研也代表取締役社長は今回の1号店の特徴として、「東京の銘店『味の浜藤』『とんかつのまい泉』『wanofu』と当社がコラボレーションしたオリジナル弁当、お土産用自家製お菓子1,000円、東京駅限定のスイーツバッグ1,500円、オードブルセット1,000円など、紀ノ國屋PB品が35～40％（通常は20％）を占め、差別化されている」と語る。また、店の場所が新幹線の指定席発売所前にあるために、買物していただける時間的な余裕があるので、高級ワインや地方の名品も揃えるなど、新紀ノ國屋色を強く打ち出している。ここでの成功は今後のビジネル領域の広がりにつながるだけに、同社としても特に力が入っている。
今週の目次
新 激戦地 ストアシーイングMAP 1
東京都 吉祥寺周辺
今週の業界トピックス
原信ナルスHD ニューコンセプトpartⅡの新戦略を構築
オーシャンシステム チャレンジャーで1g1円の惣菜バイキングを開始食品スーパー2010年9月期本決算
コスト削減で経常利益は3社が増益
売上高は4社全てがダウンするＳＪ新店レポート
工場跡地に、ファッションストアを従えた「北陸初のNSC店」
平和堂 フレンドマート開発店
生鮮・惣菜強化型の高質SMに全面改装、制服も一新
リブレ京成三矢小台店
旧店の6倍の規模に拡大し、新・多層階型GMSを移転スタート
新・イトーヨーカドー曳舟店
初のコンビニ跡地、一気に出店範疇が広がる可能性
マルエツ プチ神田司町店カスタマー ディライト・24 小澤信夫
顧客の感動・歓喜・大喜び
MDフラッシュ
今週の開店情報一覧
チェーン・スーパーマーケット企業への提案
（株）島田研究室・代表 島田陽介
景気後退を、ほんとうの意味で「追い風」にしたウエグマンの快挙業界動向
海外原料高騰で油脂大手が揃って新春早々の値上げ要望
食品マーケティング
マルハニチロが「鮭に関する意識調査」を集計
※CVSの人気おにぎり、ベスト2は「ツナマヨ」と「鮭」
公取委が「優越的地位乱用」でのガイドライン示す
※長期デフレ時代に「取引相手の犠牲」多発を抑止食材ノートコラム・42 ゴボウ
今週の大店立地法公示速報
交差点
猛拡大するスマートフォン市場
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