国内最大の流通グループへと成長したイオン。ここ2、3年はGMS改革を推進しているが、コスト構造改革や既存店売上など、昨年ようやく効果が現われ始めた。イオンリテールは昨年12月1日に旧カルフールから店舗を譲り受けたイオンマルシェを、さらに今年3月1日にはサティを展開するマイカルを吸収合併し、新生イオンリテールを誕生させる。これに伴い、83店あるサティの店名は今春、全てイオンへと切り替わる。イオンは日本最大のマーケットである首都圏を国内最重点エリアと位置づけ、首都圏のシェア向上を目指している。
かつてはカルフール狭山店だった「イオン狭山店」と、狭山サティから「イオン武蔵狭山店」へと変わろうとしている両店の距離は、僅か1q。同じ国道16号線沿いで営業している。狭山サティは4階建てのGMSで、1階が食品、2階が衣料品、3階が住居関連品、4階はコナミスポーツが展開。1979年11月にオープンしたニチイ狭山店から30年あまり営業している。一方、イオン狭山店は2002年10月に開店したカルフールの建物をそのまま譲り受け、直営売場は2階に配置し、1階と2階に各テナントを配している2層式ハイパーマート。カルフールからイオンへと店名が変わると同時に徐々に売場や商品がイオンよりに変化。現在、カルフールらしさはほとんど見られない。いずれにしても至近距離で営業するイオンの両店が今後どう変わっていくのか。周辺には食品スーパーとホームセンターを併設したNSCが増えてきており、競合に打ち勝てるのか注目したい。
イオンの大改革といっていいほど、今春は組織や店舗が激しく切り替わっており、内部はさぞかし、てんてこ舞いだろう。3月1日には年商2兆円を超える新生イオンリテールが誕生し、本州と四国の総合小売事業も3社の一体化が完了する。同社は、東北、北関東、南関東、東海、中四国、北陸・信越、東近畿、西近畿の8つのカンパニー制を導入する予定だ。
イオンリテールの村井正平社長は、「まだまだ我々は固定観念に凝り固まっているが、『そこまできるのか』と言われるようなことに挑戦していきたい」と強調する。「単なるチラシだけの訴求は減らしている。店頭を含めイオングループ全体としての販促プロモーションを強化している」とし、「スケールメリットは最大限に活かしていきたい」と語る。「元マイカルとか、元ジャスコという言葉は社内では絶対に言わせないようにしている」とも。
今年3月1日付のイオンの機構改革では、ディベロッパー事業最高経営責任者の組織下に首都圏戦略責任者を新設する。首都圏におけるマーケティング、出店戦略、新業態開発を深耕し、首都圏内の店舗展開を強化する。変化の激しい今、「旧態依然としたジャスコのビジネスモデルを変え切れなければ、ジャスコは終わりと覚悟している」と村井社長。スピードをもって変革を進め、地域に密着した展開をより強化する。
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