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No.638-3/28

「3.11」東北関東大震災。
全国で広がる「買いだめ騒動」

No.638号

  M9.0の巨大地震がもたらした大津波と原発事故。首都圏では「計画停電」が実施され、全国各地のスーパーやコンビニから食料品や水が消えた。「棚からモノがなくなる」という大規模な現象は、今から38年も前の1973年(昭和48年)に起こった「石油ショック」のトイレットペーパー騒動以来のことだ。「買いだめ」の対象となった即席麺やパン、水、米、乾電池などは、供給が急ピッチで回復し、落ち着きを取り戻しつつあるが、今度は原発事故で、ホウレン草や原乳が出荷停止になった。相手が放射能だけに、対応を間違うとパニックにつながりかねない。流通業界に、また新たな課題が突き付けられた。


「買い占め」か「非常時の備え」か


  「知り合いの、そのまた知り合いのスーパーに頼まれて、救援物資を名取(宮城県)のHCムサシに入っている食品スーパー・イトーに送ることになりました」と話すのは、金沢市内で高質スーパー・カジマートを7店舗展開する鍛冶商店の鍛冶一雄社長だ。


  「カップ麺や、水、米、菓子類など、店の在庫をかき集めましたが、同級生が来て、『カップラーメンがないか?仙台の工場に送りたいので…』と言われて、半分そこへ回して(苦笑)」。「4tトラックを探すのに2日も掛かりました」という。警察の許可もようやく取れた。


  「多分、店で売るんでしょうが…よく分からないんで、送るだけ、送ろう」と。宮城ナンバーの乗用車が店に来て、水やら米を買って行きました。「どうするんですか」と聞いたら「今から持って行くんだ」と。「多分、自分のご家族用だと思いますが…」。


  日本全国から救援物資が被災地に送られているが、被災地では避難所への物資が優先される。家が残った人は、近くのスーパーに買いに行くが、そこには商品がない。全国チェーンなら自社の物流網があるが、中小チェーンの場合は、自前で調達ルートを開拓せねばならない。


  地震が起こってから、全国のスーパー、コンビニ、ドラッグストア、HC、電器店で単1の乾電池、懐中電灯が棚から消えた。これを単なる「買い占め」と見るか、これまでいくら叫ばれても動かなかった「非常時の備え」と見るか、判断はまだ付かない。未曾有の災害は、日本に「再生か、沈没か」を突き付けたのは事実なのだが…。


今週の目次




流通羅針盤


震災レポート

非常用食品の買い溜めで欠品状態に


今週の業界トピックス

CGCグループ東北管内加盟店の2割が営業不能、21店が全壊
セルコチェーン加盟社のほぼ全店で営業再開


今週の開店情報一覧


SJ新店レポート

水産中心に生鮮売場を核にした駅前型SM
 東武ストア逆井店
EDLP型食品SM、多段陳列中心で、下段は低価格品
 マミーマート昭島中神店


新たな段階に入ったチェーンストアの省エネ対策シリーズA

東急ストア 全事業所で認証取得のISO14001をベースに環境対応推進


関幸雄の流通コラム流通戦略アドバイザー

魚が好き、スーパーが好きという人を採用すれば業績は良くなる


SJ食品衛生レポートTA

震災復興を日本再生の起爆剤に
世界が見ている「今後の対応」


SM でも売れる健康茶シーロンの「さらさらきれい茶」

飲んだ人絶賛「体質改善の効果」と「即効性」の驚き
五味商店岩本幸子顧問に聞く効果と販売策
京北スーパー下西拓也専務推奨の言葉


企業動向

日清オイリオ、大震災で磯子事業所の一部が被災


食品マーケティング

食料自給率アップへ「米粉」の食メニュー推進
 ※事例−飼料でも養鶏場で輸入9割の見直し(青森・常盤村養鶏農協)


今週の大店立地法公示速報


交差点

オールジャパンで乗り越えよう



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