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No.640-4/11

「東日本大震災」被災地の復興に向けて「鉄人28号」が突き挙げた右腕

No.640号

   戦後最大の自然災害になった「東日本大震災」。福島原発が未だに危機的状況にあり、安否不明者が2万人近くになる中でも、スーパーやコンビニが次々と再開。避難所から仮設住宅建設へと「地域復興」が徐々にではあるが、本格化してきた。16年前の阪神大震災の大火災で、戦後の焼け跡のようになった神戸・長田地区では、復興のシンボル「鉄人28号像」が被災地に向けて、「がんばろう!」と右手を大きく付き出したポーズで、力強いエールを送っている。神戸市灘区では「元気な商業施設・ドンキ」が開店した。


もう一度見たい、あの「うろこ雲」


  JR山陽本線・新長田駅周辺は、阪神大震災の直下型の強い揺れとその後の大火災で、壊滅的な被害を受けた地域である。周辺は10数年を経て復興を果たし、整備された公園に2009年秋、街の復興と地域活性化の願いを込めて、高さ18mの巨大な「鉄人28号像」が建てられた。


  このモニュメントの南に続く新長田一番街商店街は阪神大震災で、約60店舗のうち、9割が全壊したところでもある。「全国の支援があって前を向けた。今度は私たちが力になりたい」と振興組合が募金活動を始め、約138万円を1日、地元紙の厚生事業団に寄託したという。


  4年前、記者は宮城、福島、山形県のスーパーやホームセンターを取材したことがある。仙台空港から名取、南相馬へとレンタカーを走らせ、福島の山あいの町・川俣町を経て、福島市内に入り、東北道を山形まで飛ばす「みちのくの秋」の取材行だった。


  相馬のHCの外売場で花の苗の世話をしていたパートの女性がかがめていた腰を伸ばして、立ち上がった。空を見て「まあ、きれい」と言った。そばにいた記者が「いわし雲ですか」と聞くと、「うろこ雲ですよ。もう秋だね」とつぶやいた。


  地震による津波被害や原発事故。放射能漏れも止まらないし、風評被害も深刻に。「どこから手を付けたらいいのか、一体いつまで掛かるのか」――というのが正直なところである。被災地の復興は「阪神大震災」を教訓に進められるものと思っていたが、今回はそんな生やさしいものではない。復興した町で「あのうろこ雲をもう一度見たい」と思った。


今週の目次




流通羅針盤

過度な自粛は復興の妨げ、『攻め』の姿勢が大切


今週の業界トピックス

アークランドサカモト 食品SM子会社ランドジャパンを吸収合併
平和堂 東海地区の出店を強化


今週の開店情報一覧


SJ新店レポート

「自然のちから」活用したエコストア、新生イオンが西日本初出店
 イオン伊丹昆陽SC
ドラッグ売場を抱えた300坪SM、震災後の買い溜めで売り切れ続出
 マルエツ板橋駅前店


チェーン・スーパーマーケット企業への提案

(株)島田研究室・代表 島田陽介
根本的に違う「個店経営」チェーンと「画一売店」チェーン


MDフラッシュ


チェーンストア・コンビニ2月度販売概況

節分、バレンタインなどイベント良く全業態で堅調
 チェーン協、27ヵ月振りにプラス、3月は大地震で不安定続く


ハマさんのコーヒーブレーク・85 コラムニスト 浜本經道

我欲が強いのは東京都


売場活性化へ春の新商品 森永乳業のデザート戦略

タニタとコラボレーション 『タニタ食堂の100kcalデザート』


企業動向

日本製紙クレシア、家庭用ケア市場で攻勢かける


食品マーケティング

東日本沿岸の崩壊、中枢の気仙沼で被害甚大
 ※被災地への物資援助、内外から続く
 東洋水産、シーズンの冷麺で静岡以東の対応追われる
 大勝軒の‘つけ麺’(山岸一雄)を前線に訴求


食材ノートコラム・46 イチゴ


今週の大店立地法公示速報


交差点

各社マチマチの与件を加え業績予想



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