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No.664-10/10

西に東に――人が多い大阪と名古屋の
NSCに出店した平和堂の戦略

No.664号

  滋賀県を本拠とする平和堂が9月に大阪と名古屋地区でNSC(近隣型ショッピングセンター)に相次いで出店した。22日、大和情報サービスが運営・管理するNSC「アクロスプラザ千舟」に、大阪市内初出店となる「フレンドマート西淀川千舟(ちぶね)店」をオープンした。29日には名古屋東部の地下鉄東山線終点の藤が丘駅から北東800mの愛知郡長久手町に建設した「Friend Town 長久手」内に「平和堂長久手店」を出店した。名古屋のベッドタウンとして人口が急増している地区への進出で、愛知県では初のNSC出店だ。いずれも食料品の核テナントで、「人が多い両地域のNSCに出店する」のが今後の主流になる。


安売りに流されず、個食・洋風化に対処


  「西淀川千舟店」がオープンしたことで、平和堂の大阪府下の出店は11店となったが、大阪市内へは初めてだ。周辺の工場がマンションへと姿を変え、ファミリー世代や単身者が移り住んでいる。それでいて、昔ながらの住民も多く住む地域は、大変魅力的だ。今回は鉄工所跡地に出店することができた。


  一方、愛知博の長久手会場への乗換地点となった藤が丘駅。北東に歩いて20分ほどの丘陵地帯にオープンした平和堂長久手店は、コンクリート工場跡地で、長谷工がマンションなどと一体開発を進めているところだ。土地を取得して開店にこぎつけた。5年前に比べ、12.7%も伸びた同地区の人口。来年は晴れて長久手市に昇格するが、近くではマックスバリュ中部も出店するなど、競合はどこも大変だ。


  平和堂の本部がある滋賀県彦根市を起点に両手を広げると、左右の指の先に西の大阪、東の名古屋があることになる。中小のチェーンやライフ、関西スーパーといった強豪が周辺を囲み、「安売りが当たり前」と言われる西淀川地区で、“味の訴求”を続けつつ、独自色を出す。都市郊外のベッドタウンでは?


  「これまで、滋賀県のルーラルエリアでのMDが主体で、都市部のファミリーニーズに沿うのが苦手だったが、ようやく個食・洋風化に対応できるようになった。今後は、人口の多い都市部周辺で衣料品を備えたフルラインのNSCではなく、小ぶりのNSCを主体に出店していきたい」(松井一夫・取締役店舗運営本部長)という。


  滋賀県南部の草津周辺ではシェアが3割を切った平和堂。「大阪、名古屋といった人口の張り付いた場所へ、SM単独店ではなく、複数のテナントを伴って」という点に、平和堂の今後の出店戦略のポイントがあるようだ。


今週の目次




流通羅針盤

国民生活産業消費者団体連合会(仮称)発足の動きが早まる


今週の業界トピックス

アークス 網走市内で3店展開する篠原商店を子会社化
ダイエー 創業祭を機に、新たな商品戦略を構築
ポプラ 100円のおでんだし茶漬けを10月中旬から販売開始


マルカン おなじみの「ほねっこ」ブランドから新商品発売


MDフラッシュ


今週の開店情報一覧


SJ新店レポート

都心型SMとして惣菜をメインに生鮮3品を品揃え
 マルエツ市ヶ谷見附店
将来性を見込み、提案型で認知度アップ図る
 ヤオコー市川中国分店
アカ抜けた「地産地消」コーナー。駅前、23時営業を競合の武器に
 マックスバリュ米野木店


チェーンストア・コンビニの8月度販売概況

昨年の猛暑の反動、下旬の多雨で低調に反転
 コンビニは9か月連続で既存店ベースプラス


〈マイサイズ〉のキャンペーン 大塚食品 ヤマダ電機と提携

「マンナンごはん」とセットで効果


企業動向

味の素ゼネラルフーヅ社、販売水準102%超が必達目標


食品マーケティング
<シリーズ 冷食・秋冬への新商品販促(業務用編)>

※マルハニチロ食品、量販店惣菜向け「ごちそう厨房」
※東洋水産、即席袋麺の新販促に「マルちゃん正麺」


ハマさんのコーヒーブレーク・91 コラムニスト 浜本經道

人材育成かローコストか


今週の大店立地法公示速報


交差点

出店競争の裏でパートの争奪戦



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