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No.677-1/23

「10%引!」セールと「省エネ」コノミヤの2つのチャレンジ

No.677号

  世の中は閉塞感を抱えたまま2012年が明けたが、売場面積1,000uあまりのSMの新店の中に打開のヒントを見付けた。大阪府摂津市の淀川近くに昨年11月3日オープンしたコノミヤ摂津市駅前店がそれだ=写真。周辺は摂津市が整備を進めている地域で、外観は周囲との調和を図るため、ベージュを基調に落ち着いた感じ。屋上に太陽光パネルなどが設置された、省エネ設備を完備した店舗で、毎週月曜日に「10%引!」セールが実施され、人気を集めている。お客に直接見えない省エネ部分と、はっきり分かる10%OFF――どちらもこれから欠かせない視点だ。


「環境と人、安さと品質」備えた店舗


  大阪と京都を結ぶ阪急京都本線に2010年3月、摂津市駅が開業した。同時に新駅周辺の整備も進められ、せせらぎのある公園やシニア向け高層マンションがどんどん建設されている。店舗は駅から300mばかり南の香露園交差点の角に建てられた。


  月曜日の昼前、普通ならレジがフル稼働することなど考えられないが、ここは違った。「さあ、いらっしゃい、いらっしゃい。こんなに厚いブリの切り身はいかがですか?」「10%引きですよー」。途切れたと思ったら、いつの間にか、また人が増えている。


  開店して3ヵ月ほどだから、「まだまだ、認知してもらえていない」(中山昌運店長)10%割引セールだが、口コミで週を追うごとに来店客数が増えており、手ごたえは十分だ。10年の歴史はあるこのセール、酒・たばこ、雑誌類などを除くほぼ全品が対象だ。後を追った関西スーパーも全店対象ではないから、コノミヤ独自のセールと言ってもいい。


  さて、省エネの取り組みだが、大手チェーンでは当たり前になっていることも、コスト面で中小ではなかなか踏み切れないのが実情だ。敷地内の緑化、壁面に断熱材を投入、ペアガラスの採用、太陽光パネルの設置、LED照明の採用etc。どれもこれも、お金が付いて回る。


  摂津市駅前店は大阪府が決めている「環境配慮評価システム」のAランク店舗に認定された。困った時の呼び出しボタンがあり、車イスの人にも利用しやすい通路幅も確保するなど、人にも優しい店舗だ。並べたら売れる時代は昔の話。環境と人に配慮し、安さと品質も要求される時代のモデル店を見た気がした。


今週の目次




新春トップインタビュー

情緒的な価値を追求した実験店スタート
 サミット社長 田尻 一 氏


今週の業界トピックス

エコス 12月商戦好調でV字回復に手ごたえ
さえきホールディングス 今年は「動」の年、出店、改装を積極展開


SJ新店レポート

チラシやめ、納得の価格と商品内容で顧客を囲い込む戦略で勝負
 マックスバリュエクスプレス松島店
好調のDSを増床し、さらに売上増を目指す
 FOOD OFFストッカー白岡原ヶ井戸店
新本社屋隣接、SMの未来形を具現化。「お買い物バス」も運行
 松源 和歌山インター店


  

食品スーパー2011年9月期本決算

コスト削減により経常利益は4社全てが増益
 売上高はPLANTを除く3社が増収に


チェーン・スーパーマーケット企業への提案

(株)島田研究室・代表 島田陽介
「行列のできる店」は、ほんとうにいいか


食品マーケティング

冷食、上期新商品の拡大重点策を絞る
 *アクリフーズ 安定性に新ジャンル挑戦
 *味の素冷食 弁当向け自然解凍品へ集中戦略
 *日清フーズ伸 びる1人前のパスタ拡大継続


こだわりの昨日今日明日 今年もトレードショーの目玉

今や変えないこと・やらないことが大きなリスクになる


企業動向

AGF 万全の新商戦略でさらなる成長をリード(下)
味の素 都内ホテルで新商品披露し大商談会を開催


非縁社会のぬくもり・10 小澤信夫

靴磨きの7歳の子が妹を思う優しさ


今週の大店立地法公示速報


交差点

某プロレスラーの名言



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