横浜・伊勢佐木町で144年間営業してきた横浜松坂屋が閉鎖したのは2008年10月26日。横浜市の歴史的建造物に認定され、2004年には市から4,383万円の助成金を受けて改修工事もしていた。だが、25年間連続の赤字を続け、2007年9月に大丸と松坂屋が統合してJ.フロントリテイリングが設立されグループ内の経営改革が進められる中で百貨店の撤退を余儀なくされた。代わってグループの商業デベロッパー企業である大丸コム開発が新SCを手掛け、地上3階建ての「カトレヤプラザ伊勢佐木」を2月8日にオープンした。
横浜市・伊勢佐木町と言えば、かつては繁華街として栄えた場所。昭和40年代に歌手・青江三奈が歌った「伊勢佐木町ブルース」が大ヒットし、最近では男性デュオ、ゆずがこの場所で路上ライブを始めて人気が出た。その商店街であるイセザキモールにかつてのような活気はない。その象徴ともいえる横浜松坂屋は2008年10月26日に閉店。地下1階・地上7階建ての建物で、戦前に建設された横浜唯一の百貨店として歴史的な価値のある建物でもあり、地下1階には新鮮イセザキ市場と名付けられた食品売場も展開していた。1992年には年商300億円だったが、閉店前の2008年2月期には87億円まで落ち込み、25年間連続して営業赤字だった。
144年間営業してきた旧横浜松坂屋を取り壊し、その跡地にJ.フロントリテイリンググループの大丸コム開発が2月8日、新SCとして「カトレヤプラザ伊勢佐木」を開業した。旧横浜松坂屋は横浜市の歴史的建造物として保存を要請されたが、耐震構造の問題から取り壊し、新たに造り直して地上3階建てとした。その間に一時、上層階部分をホテルとする案も上がったが、リーマンショックの影響を受けて頓挫している。
新SCでも地上1階部分を新鮮イセザキ市場として食品売場を形成する。グロサリー・デイリー商品は京急ストアが担当し、青果は九州屋、鮮魚は魚喜、精肉は大久保、惣菜は知久屋、インストアベーカリーは麦の花が売場展開する。集中レジを含めて食品売場全体の管理・運営は魚喜グループのビッグパワーが行う。
イセザキモールに新SCを開業することで地域の活性化を見込む。老朽化の進む百貨店業を営むJ.フロントリテイリングとしてはグループ内の資産の有効活用を図るため、商業デベロッパーの大丸コム開発に急ピッチの商業施設開発を至上命題として期待もかけている。来年閉店する松坂屋銀座店は周辺の再開発を含め新しい複合商業施設として2016年に生まれ変わる計画があり、今後の行方が注目されている。
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