6月29日に開店した「クイーンズ伊勢丹ふじみ野店」は、三越伊勢丹ホールディングス100%出資子会社同士のクイーンズ伊勢丹と二幸が昨年4月1日に統合して三越伊勢丹フードサービスとなって初の新店。同店のある商業施設はアウトレットモールの先駆けとして1993年11月に開業し、当初は人気を得た。その後、三井不動産などのアウトレットモールが首都圏に増えてくるに従い、来客数が減り、テナントが抜けて歯抜け状態となったリズムというSCだった。これを今回、三菱信託UFJ信託銀行が信託受託する建物設置者となり、イオンモールがプロパティマネジメント(PM)契約を締結して、テナントリーシングなどを実施した。成功すれば、日本全国にある閉鎖SCがイオンモールのPM事業となる可能性も高い。
今年4月13日に三井不動産とららぽーとマネジメントは、11施設目となる「三井アウトレットパーク木更津」を千葉県木更津市に開業。東京湾アクアラインを利用すれば、東京や横浜から車で、1時間以内で辿り着ける首都圏最大級のアウトレット施設。海辺にあり、リゾート感と開放感溢れる施設空間を創出した。開業時は、店舗面積約2万8,000uの平屋建てで、171店が営業するが、今後拡張する計画で最終的には約4万u、200〜250店が営業予定。
「三井アウトレットパーク木更津」の人気スポットは地元の有名店を中心に集めた650席のフードコートで、平日の昼間でも満杯状態だ。人気店には常に行列ができているが、その理由は、観光スポットとして観光バスが立ち寄る拠点となっているため。
オープン初日の朝には5,000人を越える行列ができた同SCには、その後のゴールデンウィークには9,000台用意した駐車場が満車で2時間待ちという異常事態にもなった。観光地としてこれから夏休みを迎える時期はファミリーを中心に賑わうことだろう。SCの年間来場者数は500万人を見込み、初年度の年商は320〜340億円を想定している。
日本全国にアウトレット施設は39ヵ所あり、国内の市場規模は6,000億円ともいわれている。これまでの10年間で約10%の成長率だったが、ここ2、3年で頭打ちとなり、今年は木更津、来年はチェルシージャパンの「酒々井プレミアム・アウトレット」の開業だけ。そんな中、日本最初のアウトレッモールだった埼玉県ふじみ野市のリズムが閉鎖に追い込まれ、今年6月29日に銀行が間に入り、イオンモールがPM契約を締結してテナントリーシングして新たなSCとして生まれ変わった。新SCの核店舗の一つが「クイーンズ伊勢丹ふじみ野店」(本誌新店レポート5〜9頁)。同SCが成功すれば、日本全国にある閉鎖SCのモデルとして、イオンモールのPM事業が注目を浴びることだろう。
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