買物に時間が掛けられない、持ち運びが手間だと考える人々にとって、ネットや電話等による宅配サービスは非常に使い勝手のいいものになっている。ネットをメインとした宅配サービスに取り組む企業は全国で80社以上になる。事業推進の問題点は採算性。イトーヨーカ堂、ダイエー、イズミヤ、ヤマトシステム開発の事業の実務責任者4名が登壇し、取り組み中の事業内容、成功事例、抱える問題点、今後の方向性などを実務に添って講演した。会場には小売、製造、卸などそれぞれの分野から百十数名の聴講者が集まり、各社の事例を熱心に聞き入り、会場は熱気に満ちていた。セミナーは9月5日(水)、都内東京駅近くで行われた。
日本スーパーマーケット協会主催、事務局ストアジャパン社・SJ流通戦略研究所で行われた第3回ニュービジネス公開研究会セミナーが9月5日に都内で開催された。同研究セミナーは本年度5回の開催を予定しており、6月には「小商圏」「地域密着」をテーマにしたセミナーが行われており、第3回目である今回はもはや業界の常識となった「ネットスーパー」をテーマに各企業の担当者が講演を行った。セミナー聴講者は前回に続いて百十数名が参加。必要不可欠ともいえるデジタルマーケットへの更なる拡大へのヒントを探った。
セミナーの冒頭では日本スーパーマーケット協会事務局長・江口法生氏が挨拶。続いて、ネットスーパーの立ち上げから参画しているイズミヤeコマース営業マネジャー田中和伸氏がスタートから現在までの取組み状況、イズミヤモデルの開発、スマートフォンへの対応やシステム、定額制コースの導入など自社独自の事業内容を講演。2講演目は地方の小規模SMを中心にネットスーパー事業をパッケージ提案するヤマトシステム開発の事業部長・佐藤学氏が低廉なコストで事業参入が出来る仕組みを開示、事業採算を向上させるための資材購入との組み合わせなど今後の支援事業の進捗について講演。
3講演目には事業売上高350億円を誇るイトーヨーカ堂のネットスーパー推進室マネジャー・佐久間直氏が登壇。リアル店舗との融合や“現代版御用聞き”について、実務を分析しながら、成功事例、今後の改善しなければならない問題、今後の見通しや目標など各数字を交えながら講演。最後に比較的後発での事業スタートとなったダイエー営業グループネット事業推進部長・渡辺泰章氏が講演を行い、先発組の問題点を見ながら、改善できるという後発の優位性を活かしながら、先発に負けないための顧客へのインセンティブ(スマートフォンアプリの開発など)の付加の取組み、ネットスーパーから派生するO2Oの展開などについて語った。
黎明期を過ぎ発展期を迎えたネットスーパー。最大の課題である事業採算の問題をどう克服するか、今後も小売業界では目を離すことのできない重要なテーマの一つだ。
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