京王ストアの旗艦店である桜ヶ丘店が8月25日の全面リニューアルオープンを機に、部門の垣根を越えた、買い易さと出来立てのおいしさを追求した売場へと変身した。特にデリカや簡便商品を強化し、惣菜売場では酒や加工食品とのクロスマーチャンダイジングを実施。惣菜とデザートの売場を一体化すると同時に生鮮食品売場には各種調味料を揃え、味付けの魚や肉をコーナー化した。今回の改装にあたり計13台ある食品レジのうち1台を「おもいやりサービス優先レジ」として新導入し、シニア向けの取り組みも開始した。
多摩市は東京のベッドタウンとして日本の高度経済成長期を支えてきた街だが、現在は高齢の単身世帯が多く住み、今後も増えていく可能性の高い地域といえる。多摩市北部にある京王線・聖蹟桜ヶ丘駅は多摩ニュータウンへのアクセス駅であり、駅南部の丘陵地帯は1960年代から1970年代にかけて京王電鉄が大規模な宅地開発を行ったところ。
聖蹟桜ヶ丘駅周辺は商業化が進み、その中核となっているのが京王聖蹟桜ヶ丘ショッピングセンター。1986年に開業し、現在は駅を囲むように3棟で構成され、B館は京王百貨店、C館には飲食店やクリニックなどが営業し、A館の1階と2階に京王ストア、3〜5階にはバラエティ雑貨などを販売する京王アートマンなどが営業。
1970年から営業している京王ストア桜ヶ丘店は8月25日に1億2,000万円投資し1階の食品売場を改装オープンした。同店のピークは5年前で年商は63億円ほどだったが、その後売上は減少傾向で、昨年は59億円。今回の改装を機に年商63億円の復活を目指す。
桜ヶ丘店の改装では、客ターゲットを明確化。@シニア層A子育て世代B勤め帰りのサラリーマン・OLの3つに客層を対象とした品揃えに。デリカやハーフデリカといった即食性の強い商品を強化すると同時に少人数世帯に合わせて少量で上質な商品を拡大し、個食の和・洋菓子やデリカを充実させた。新たな試みとして、集中レジのうちの1台を「おもいやりサービス優先レジ」として、開店の10時〜16時まで、袋詰めサービスなどを実施する。電車やバスの優先席のように、高齢者や体の不自由な人に対応したサービスを行う優先レジは、欧米のスーパーでは数年前に登場しているが、まだ日本では馴染みがない。時代のニーズとして優先レジが今後増えてくる可能性も高い。
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