いなげやは従来の「生鮮+惣菜」の考え方から、「惣菜+生鮮」へと優先順位を切り換えた売場づくりを進めている。11月13日にオープンした西東京富士町店(売場283坪)では、9月12日にオープンしている下石神井店(同583坪)に続いて2店目となるオープンキッチン方式のデリカ強化型売場を導入した。12月12日に出店予定の桜新町店(280坪)でも同じタイプの売場を計画。新店以外にも今期は同社がSMを展開する約半数の60店の改装を現在進行中であるが、改装の大きなポイントの一つも惣菜売場の強化。来年4月に同社は惣菜子会社クックサンとの統合を予定しており、店全体で「素材中心から惣菜中心へと大きく舵を切ろう」(成瀬直人社長)としている。
首都圏でSMを133店、連結子会社の三浦屋の9店も含めると142店を展開している、いなげやがようやく変化しようとしている。11月13日にオープンした西東京富士町店では、作業場と売場との壁を取り払ってシースルーとした、オープンキッチン化した惣菜売場を配置した。惣菜売場にキッチン関連のイラスト描いているだけでなく、調理場にもイラストを描いて売場から「見られる」演出を施す。
店内を楽しくする工夫は、惣菜売場だけでなく、壁面を中心とした生鮮3品や加工食品のエンドの最上部やデイリー品の上などに、鍋やソーセージ、ピザ、フランスパン、ケーキ、コーヒーカップ、ステーキやナイフとフォークなど、実物サイズよりも巨大化させた装飾品を展示することで出している。これらの装飾品は同社の鮮魚担当の社員1人が作製したもの。売場を食のテーマパークのような感じにしており、客に食生活の楽しさを主張する。
同社は惣菜を強化した即食性のレディ・トゥ・イートの他に、レディ・トゥ・クック、レディ・トゥ・ヒートの2つの切り口も推進している。西東京富士町店では青果と塩干の壁面売場の間に、味付け肉と魚を18尺の規模で集中陳列する簡便コーナーを常設して、「らくッキング!パパッと調理。」というPOPを掲げて提案する。同じPOPを掲示してレディーミールコーナーの隣に電子レンジでチンするだけの「お魚屋さんの煮魚・焼魚」をコーナー化する。惣菜売場の中では「らくチン!デリ」のPOPを掲げてレンジアップ商品をコーナー陳列している。
いなげやは、それぞれの店舗の地域性に合わせて、簡便・即食をキーワードとし、惣菜売場の強化を打ち出しており、今期は60店の改装を進めている。加工食品のゴンドラでもメニュー別の簡便調味料のコーナーを常設。売場全体で、最近の客の志向の変化に合わせた店づくりへと転換を図ろうとしている(いなげや西東京富士町店の新店レポートは今号の8〜12頁に掲載)。
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