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No.787-2014/05/05

アメ横に接した水産の強い新・吉池本店がスタート

No.787号

  1920年創業の老舗食料品店・吉池本店が2012年10月~2014年3月までの工事期間を経て4月26日に建て替えグランドオープンした。同地で営業してきた旧店の建物が老朽化、2011年3月に起きた東日本大震災を機にスクラップ&ビルドを決定。2012年2月末に旧店を閉鎖して、近くに仮設店舗を営業してきた。新・吉池本店は3フロアで直営展開し地上1階に鮮魚売場、地下1階では塩干と日配食品・加工食品売場の他に精肉、青果を充実。地下2階に酒と日用品を展開する。上階は集客を高めるために、三井不動産がリーシングして1~4階をユニクロ、5階と6階にはGUが営業。売上構成比の6割が水産関連という新生・吉池本店が2年のブランクを経て、かつての輝きを取り戻せるか。


得意の水産に青果、精肉も強化した吉池


  1920年(大正9年)に鮮魚小売店を東京府芝区芝赤羽町(現在の港区三田1丁目)に開業した吉池。1933年(昭和8年)に現在の御徒町に移転して、鮮魚を中心として食料品や酒、衣料品、日用雑貨品を扱う百貨店スタイルの事業を地上8階建てのビルで行う。創業者の高橋與平(よしへい)氏は新潟県出身であったため、食品や酒の売場では新潟県産の商品を数多く揃えている。御徒町には他にビジネスホテルも1館運営し、東京・赤坂には売場100坪の生鮮3品中心の食品物販店も展開している。


  4月26日、旧店と同じ場所に御徒町吉池本店ビルが新築オープンした。オーナーは吉池のままだが、地下2階・地上9階建てのビル全体の運営管理は三井不動産商業マネジメントが行う。食品と日用品を扱う吉池は地下2階と地下1階、地上1階の3フロアで展開し、日商目標は1,200万円。もともと鮮魚・塩干の専門店からスタートしており、水産関連の売上構成比は全体の6割を見込んでいる。もちろんアメヤ横丁に近いため毎年12月には通常月の2倍の売上を記録している。


  新・吉池本店の1~4階にはユニクロ、5階と6階にはGUが営業し、7階には手芸用品の専門店ユザワヤが出店、8階には飲食テナントが6店営業するレストラン街、8階には和食や寿司・洋食を提供する複合新業態の吉池食堂を展開。商業ビル全体で上野・御徒町周辺3㎞圏内の住民やビジネスマン・OLといった幅広い客層をターゲットとして狙い、年商目標は100億円、年間来館者数は600万人を想定している。


  ビル7階のレストランフロアからは東京スカイツリーも展望できる。上野恩賜公園やアメ横があり、観光・ショッピングに訪れる上野・御徒町エリアは、JRや都営地下鉄大江戸線、東京メトロ銀座線と利便性の高い場所にある。2017年にかけて大型商業施設やオフィス、ホテルの開発が進められており、隣接している浅草や秋葉原と合わせて、今後も商業・観光エリアとして進化を期待されている。今回の御徒町吉池本店ビルは新たなランドマークを目指している。


今週の目次




流通羅針盤

ウエルシア、イオン子会社へ、ドラッグストア日本一構想


SJ決算レポート(CVS篇)

チェーン全店売上高8.6兆円、大手3社のシェア84%に
 今期は3社だけで8兆円に、3店に1店は閉店


今週の開店情報


激動の流通革命変遷史・14 小澤信夫

大衆消費社会実現のために、流通革命は今から始まる
 日本の小売業・スーパーマーケット発展の歴史


SJ新店レポート

地域コミュニティの場としての店舗のあり方を追求する提案型SM
 セルバ本店
総菜・酒・飲料館と本館の2棟構成とし、小型店ながらインストアベーカリー配置
 サミットストア下馬店


チェーンストア・コンビニの3月度販売概況

増税前の駆け込み需要で各社大きく数字を伸ばす
 既存店伸率ではセブン、ヤオコー、ダイエーが各業態でトップ


ブーム落ち着くも好調推移 合同酒精「鍛高譚の梅酒」

今年1~3月も前年比105%と好調推移


食品マーケティング

変わる「缶詰」メニュー、日常性に訴求
 *マルハニチロ、小鉢倶楽部シリーズの惣菜など
 *日水、簡単オープン缶のイカ~さば


今週の大店立地法公示速報


交差点

需給バランス崩れる



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