今必要な新しいマーケット
特集 第49回スーパーマーケット・トレードショー
「グロサリーについては、ベーシックからこだわり商品まで素材として楽しむ提案、調理して楽しむ提案を行う」と1月27日オープンの「ヤオコー南流山店」では打ち出す。同店のゴンドラではできるだけ販促物は抑え最上段のPOPは意図的にはずしている。商品の下や横に「バイヤーのおすすめ」「身体を大切に!減塩」の丸いPOPを掲げているだけだ。
一般的に<こだわり商品>とはグロサリーの商品を呼ぶことが多い。だから、MD(マーチャンダイジング)を考える上でグロサリーだけで走りがちになる。スーパーマーケットは生鮮食品が命と言われるほどだから、本来、グロサリーだけのMDはあり得ないとも言える。にもかかわらず―が売場でチグハグさを生んでいるのかもしれない。
ヤオコーはこの原点に立って、8年前、こだわり商品の見直しを行った。それまで棚の最上段に並んでいた<高額商品>を篩にかけ、徹底的に精査して商品を再選択し売場を甦らせた。
ヤオコーの見直しについての考えは「基礎調味料のMDの基は生鮮。消費者に生鮮の支持が得られた上で調味料がついてくる。生鮮のMDと連携しないで、グロサリーはグロサリーのMDだけで走ってしまっているのが現状。グロサリーの中でしか政策を考えずに、こだわりといってただ高級化に動いているからメインディッシュと遊離して売れない。極端に言えば、生鮮のグレードよりこだわりのグロサリーのグレードが上だからギャップがある。そのギャップをなくしていくことが課題」ということだった。
そして、「こだわり・わけあり商品の比率は大きく見ても2割程度。残るメインの8割が基本商品なのに、基本商品の見直しをしないで上質化の方向に走っていた」ことを反省し、時間をかけて熟慮、再整備の結果を出した。
売れなかった高額こだわり商品は消え、ヤオコーが選んだ〈新しいこだわり〉が売場に並んだ。「ヤオコーのこだわり」は最上段から棚の中段に移った。つまり、普通の女性客の目線に配置されたのだ。今もヤオコーのこだわり調味料は手に取りやすいところに置かれ、「日常、普段のこだわり商品」として並んでいる。
時代は変わり、地方の疲弊が進む中で「地産地消から地産外商」へと〈こだわり商品〉の動きはますます大きくなっている。しかし、地方の生産者もここでしっかり考えなくてはいけない。「ただ高いだけの商品」では日常性がない。8年前のヤオコーの見直しを教訓にしなければならない。
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