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No.848-2015/08/10

いなげやドリームファーム年々拡大。SMの農業事業切り開く

No.848号

  いなげやは平成25年2月に、農業法人「いなげやドリームファーム」を設立して農業事業に参入。3年目の今では、直営圃場は5万㎡に拡大し、来年の節分用大豆の作付面積(契約含む)、契約農家がそれぞれ3万㎡、12名と共に3倍に増えた。着実にSMの農業事業を開拓している。


営農者のインキュベーター


  いなげやドリームファーム(本社立川市)は椎茸などの菌床栽培と露地栽培を事業の柱にしているが、大豆などの契約栽培を通じて生産者との交流を深め地域に根付いた農業事業へと発展させつつある。


  農家から農地を借り受けて野菜を栽培する直営農場は東京都の瑞穂町から埼玉県の入間市、所沢市に広がり、全体で19ヵ所、5万㎡にも達している。初年度は20品目以上の野菜を栽培していたが、今年からはブロッコリー、ミニ白菜、大根などは止め、長ネギ、オクラ、キャベツ、カブ、枝豆などに絞り、集中化している。


  夏がシーズンの枝豆は2トンを出荷した。朝収穫し、北ヶ谷戸の拠点で、洗浄、冷却、選別していなげやのセンターに運び、翌朝、店頭で販売、という流れ。顔が見え、鮮度が保証された商品。直営ならではの安心のシステムだ。


  「直営による栽培で顔の見える商品をいなげやで販売するのが大きな目的ですが、地産地消の野菜を作って頂く農業の担い手を増やす事も大事です」(井原良幸社長)と、同ファームを通しての営農者の育成を図る。農家出身でなく、農業経験のない人が営農しようとした場合、まず農家で2年間働き、営農計画書を農業委員会に提出し、認可されて農地を借り受ける権利が得られる。そこで農産物を作って初めて農家として認められる。独立するまで2年間の修行が必要というわけだ。幸い、同ファームは法人の農家と認定されているため、同ファームで働けば修行者として認められる。すでに1人が農家として独立しており、営農者のインキュベーターとしての役割を果たし始めている。


  耕作放棄地が全国的に問題になる中、同ファームでは放棄地ないし後継者難農地などを借り受けており、さらに新たな営農者が放棄地などを借り受ければ農地は復活することになる。農業の再生という意味でもいなげやの挑戦は意義が深い。


今週の目次




流通羅針盤

SMの食品シェアを奪う伸長著しいドラッグストア


今週の業界トピックス

川崎アゼリア 地下SCの30年ぶり全面改装で競争力強化
JR東日本リテールネット 既存の駅売店を順次改装し、小型コンビニ化


SJトップインタビュー

「瀬戸内の小魚」一手に引き受け、市場経営もする「生鮮特化型スーパー」
 きむら(新鮮市場きむら)代表取締役 木村 宏雄 氏


SJ新店レポート

ヤング世代の多い下町、住宅密集地で簡便MD強化した270坪SM
 ライフ新御徒町店
400坪タイプの小型店を船橋市に初出店、 惣菜を強化し、肉専門店のコンセなどを導入
 フードスクエアカスミ咲が丘店
アッパー商品を2割揃えた新高質SM、GMSの旧店閉鎖し、隣のSC1階に移転
 イトーヨーカドー大宮店


スーパーフードの菓子 大塚食品が新分野開発

チアシード3,000粒『しぜん食感 CHiA ココナッツ/カカオ』
若い女性ターゲットに9月、エリア限定でコンビニ・ドラッグから発売


精肉売場向けたれ・つゆ モランボンが秋冬新商品発売

家庭の人気料理「すきやき」「もつ煮」
韓国の味わいが楽しめる鍋用調味料も充実


企業動向

日本製粉、アマニ関連商品がヒット、差別化に注力(上)
秋冬向け新商品はドライ、冷食、健康で50億円超見込む


食品マーケティング

市販用冷食、9月からの新商品発売迫る
弁当向け&食卓向け兼用メニューに凌ぎ削る
 *ケイエス冷食、売れ筋のバリエーション増へ取り組み
 *日本水産、冷食、日配,常温品等にEPA/DHAアピール


今週の大店立地法公示速報


交差点

70年と60年の違い



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