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No.862-2015/11/30

「試食も体験」―エキスポシティにオープンしたイズミヤの挑戦

No.862号

  今から45年前の1970年、大阪万博が開かれた地に、大型のショッピングモール「EXPOCITY(エキスポシティ)が11月19日に開業。8つの体験型レジャー施設と305の専門店が入った「ららぽーと」には「ええもん安い」がキャッチフレーズのイズミヤが出店した。売場中央に設けた「トライどっとこむ」とクッキングサポートを合体させた常設の試食スペースにお客が集まっている。


「損して得を取れば…」


  日本で一番、試食に対する反応が早いとされる大阪。取材した日も「魚屋の寿司」のマグロ寿司は、あっちこっちから手が伸び、あっという間になくなってしまった。
  だが、これは「タダだから食べないと損」というだけではない。「あそこに行けば、これだけ得する」と口コミ情報を“おまけ発信”してくれるのが大きい。
  元万博会場に「食品スーパー」をオープンしても、誰が足を運ぶのか。そうした懸念を払拭してくれるのが、「面白そうだから、行ってみよう!」という仕掛けなのだ。
  メーカーが売り込みたい商材、食べ放題の試食コーナーの充実、いずれであってもいい。「話に尾ひれがついて、集客につながれば」それで良しなのである。


  最近はやりの「イートインの設置」も、すぐ見学してマネをする―その結果「どこのスーパーも、似たり寄ったり」になってきた。
  だが、これは業界全体から見ると、お客のニーズの変化に対応している結果だから、悪いことではない。他社のやっていることは大いに参考にすべき。要は、どうやって自社のサイズに合った導入をするかだ。


  今回の「トライどっとこむ」は、ネットの世界とは結びついていないのが、残念な点だ。試食など「オマケ」に最も反応するのが中国人。蘇州に店舗があるイズミヤの顧客にスマホで発信すれば、来日につながるハズ。


  インターネットの普及で、わざわざ店舗に足を運ばなくてもという時代に、実店舗ができることはあまり残されてはいない。


今週の目次




流通羅針盤

180度転換した発想により、消費者起点で「トップバリュ」開発


今週の業界トピックス

イオン 新基準で開発した新「トップバリュ セレクト」を順次発売
サンエー インバウンド効果もあり増収増益


今週の開店情報

ケーススタディ 商圏特性と競合各店のMD対応を見る⑧06
 12店に導入し、22店舗体制の店舗型ネットで黒字化
 軌道に乗り、今期から一気に拡大期に入ったライフネットスーパー


2015年8月末時点の各社グループの都道府県別店舗数

計5万店を突破し、なおも出店の勢いは止まらず


SJ新店レポート

子育て世代の多い郊外地に独自MDを凝縮した550坪SM
 ヤオコー朝霞岡店
京都の街中で商売する難しさはあるが、魅力ある“得難い商圏”
 デイリーカナートイズミヤ 千本中立売店
デリカ、簡便、地域商品を強化、ターゲットは共稼ぎの30~40代世帯
 フードスクエアカスミ東習志野店


スペシャル レポート

国産農畜産物の販売強化のため全農ブランドの浸透を図る
 和食ブームに乗り、小売・外食などで国産化の動きが加速


巷で秘かに売れ始めている 注目!フーズ&ドリンクス

小林生麺[グルテンフリーヌードル フェットチーネ]
 小麦アレルギーやダイエット市場に向けた革新的商品


企業動向

AGF、地域別消費ベスト5や消費多様化する実態など把握


食品マーケティング

国分と丸紅の卸事業での提携が具体化
 *低温、菓子事業など相互に協業で推進
大手食品6社の共同配送、4月から北海道でスタート 


今週の大店立地法公示速報


交差点

年末に増加するホームパーティー



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