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No.910-2016/11/28

“平和の使者の上陸”―東海岸のコタバルに初のイオンモール(マレーシア)

No.910号

  「あなたは日本人か? いつも来ているよ。特にトイレはすばらしい」―イオンが5月末、マレーシアの東海岸に初オープンした「イオンモール コタバル」。食品売場で初老の男性から握手を求められた。かつては戦場だった地への“平和の使者の上陸”は、フレンドリーな市民に強烈な印象を与えている。


文字通り「新しい町」に


  マレーシアの首都・クアラルンプールから飛行機で1時間。東北部のタイの国境に近いクランタン州の州都・コタバル(新しい町の意味)。人口は約50万人、住民の9割以上がイスラム教徒で、マレーの伝統文化が色濃く残る地域だ。


  市内を南北に流れるクランタン川沿いにあり、中心部から5km南の、市内でも郊外からでもアクセスが便利。主要道路を整備中で、住宅開発も活発だ。


  イオンモールの近くには、長距離バスの発着場があり、隣にTESCOが出店している。  中心部には現地資本のKBモールもあるが、出店から時間を経ている。昔ながらの露店マーケットも健在だ。衛生的ではないが、タイムスリップしたような空間だ。


  核店舗の「イオン コタバル店」では、頭に色とりどりのヒジャブ(スカーフ状のもの)を被った女性たちが野菜を手に取り、鶏肉や魚を選ぶ。お酒が飲めない分、甘いものを食する傾向が強いので、主婦は家族が糖尿病にかからないよう、食生活に気を遣う。


  豚肉を原料としないハラル食の表示は目立たない。メザキニ店長に聞くと「売場全体がハラルですから。酒売場もないのです」と話す。午後1時ごろ、館内のスピーカーからコーランの朗詠が流れた。すべてがイスラムの教えに沿って動く世界だ。


  日本軍が上陸した海岸や戦争博物館にも足を伸ばした。多くの英霊が眠る地に、70年以上の歳月を経て、平和産業である流通業の雄が新しい文化を運んできた奇縁に、深い感慨を覚えた。(次号以降に、海外店レポートを掲載)


今週の目次




今週の業界トピックス

マックスバリュ東海 3期連続で増収増益、既存店強化が奏功
マックスバリュ中部 活性化効果で、2期連続増収増益
マックスバリュ北海道 ダイエー、いちまるの店舗承継で大幅な増収減益
マックスバリュ東北 東北4県に経営資源を集中し、収益性高める
CGC 第4回グループ環境CSR発表会開催
日本アクセス 2017年3月期上期は増収大幅増益


今週の開店情報


世界が感動する日本のおもてなしの歴史的変遷と実際・21

― OMOTENASHIが日本の代名詞に ― 小澤 信夫


SJ新店レポート

和牛、まぐろで競合店との差別化を図り、激戦地を勝ち抜く
 ヤオコー柏南増尾店
再出店後も好調。洋風惣菜充実し、即食・簡便性が支持される
 Odakyu OX大和店
店オリジナルのデリカ販売し、地元の商品を多数揃える
 食品館イトーヨーカドー ららぽーと湘南平塚店


健康貢献に独創性 大塚製薬の市場活性化戦略

ポカリ・ソイジョイなど柱商品が好調
ロングセラーで新領域の開拓に挑戦


企業動向

昭和産業、異例の超長期ビジョンの策定に取り組む新経営陣


食品マーケティング

日清フーズ「青の洞窟」で初のリゾットセット発表
 *クリスマス向け食卓への訴求
 *先行してマ・マー「ラザニアセット」を発売
東洋水産からカップ麺「背脂醤油チャーシュー麺」登場


巷で秘かに売れ始めている 注目!フーズ&ドリンクス

丸正醸造[ごまとくるみがたっぷり味噌]
信州伝統の調味料をメジャーな舞台に フードジャーナリスト 旭 利彦


今週の大店立地法公示速報


交差点

既存メディアの凋落



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