日本人観光客にも人気の南国・シンガポール。伊勢丹や高島屋が出店する、銀座のようなオーチャード通りの地下に、激安で知られる「ドン・キホーテグループ」の新業態店が昨年12月にオープンした。
これまで、人通りがまばらだった地下街の一角に出店した「DON DON DONKI オーチャードセントラル店(以下、DONKI)」。若者グッズの品揃えと衝撃の安さで、たちまちシンガポール中の話題になった。今では、人の流れを変えるほどの勢いで、連日賑っている。
DONKIが出店したのは、伊勢丹があるMRT(地下鉄)オーチャード駅の隣、サマセット駅の地下1~2階だ。導線的に問題があり、初期のテナントが撤退した物件だった。「DONKI」が出店を決めたとき「あんなところに店を出すのか」と言われたが、今では「いい物件を見つけられましたね」に変わってきた。「悪いところを良くしただけなのに…」と生鮮を統括する桧山氏は苦笑する。
ドンドン、ドンキー♪と耳に残るBGMが流れる店舗。若者の“潜在需要”に火が付いた。パーティグッズやコスメ化粧品など、類似店が少なかったことや、あっても価格が高かったからだ。DONKIは食品も扱う。青果を含め、大半の「日本産品」は特殊な冷凍・冷蔵技術を使って船で運ぶ。
惣菜横のスペースに50人ばかり行列ができる。1日14回、茨城県産の「紅はるか」が焼き上がるからだ。1個2シンガポールドル(日本円で約170円)の焼き芋は「ほっぺたが落ちるほど甘かった」。ドン・キホーテを辞めて海外事業持株会社に転籍した日本人3人が住民票も移して現地に住み込んだ。「シンガポール人は家で料理しない」とされてきたが、日本の食材は高くて手が出せなかったと知る。「ドンキのホンキ」は、今年半ば開店する2号店に引き継がれる。
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