大リーグ・エンゼルスの大谷翔平選手。野手と投手の「二刀流」での活躍が全米の注目を集めている。食品スーパーの世界でも、店舗売りと宅配のどちらもこなす新型店舗がお目見えし、話題になっている。中国のネット販売最大手のアリババグループが2016年1月から始めた「電子決済店舗」だ。上海でウォッチし、衝撃を受けた。
中国・上海の浦東地区の住宅地。地下鉄駅近くにあるショッピングセンターの地下1階に「盒馬(ホーマー)鮮生」の金橋店があった。一見、普通のスーパーと変わりはない。違うのは「会員」になることだ。申し込み用紙に記入するのではなく、スマホをかざして、店舗のあちこちに掲示してあるアプリをダウンロードすることで完了する。買った商品はすべてアリババの電子決済システム「支付宝(アリペイ)」で行い、チェッカーは一人もいない。
4月5日の清明節の連休でごった返す店内。驚いたのは、ブルーのジャンパーを着た従業員がお客の数の1/5ぐらいいて、布製の袋を持って店内を走り回っていることだった。何をしているのかと後を追うと、スマホ画面に表示されたECでの注文商品を袋の中に入れている。ピッキングを行う売場が倉庫でもあるわけだ。
商品を入れ終わると店内に何カ所かあるハンガーステーションにその袋を吊るす。すると袋は天井をグルグル回って、バックヤードへ。チェックされた商品はトートボックスに移し替えられ、1階にある配送窓口まで、コンベアで運ばれる。
そこには、20台ぐらいのバイクの列。配送は無料で「3km以内であれば、最短30分以内に配達します」がウリになっている。店売りと宅配を同時に行う「二刀流」の店舗。蘇州、深圳など7都市に30店舗近く出店しており、現金主義の日本上陸もありそうだ。
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