スマホによる電子決済が急速に進み、商品代金を現金で支払うのは高齢者と決済口座を持っていない外国人ばかり――そんなEC社会に一変した中国。今度は「中国のベンチャー企業が開発した無人コンビニが各地で増えている」と聞いたので、仏系のハイパーマーケット「欧尚(オーシャン)」の駐車場の一角にある「実験店」をのぞいてみた。
中国・上海の旧市街地から東北に延びる地下鉄12号線の寧国路駅から東に徒歩5分。道行く人に「欧尚はどこ?」と聞いて、目的のショッピングセンターにたどり着いた。中国では「家楽福(カルフール)」に次いで、おなじみの店舗だ。
平面駐車場の一角、真っ赤な長方形の箱が「無人コンビニ」だ。2坪ほどの中をのぞくと、500SKUほどの飲料やお菓子が整然と並んでおり、セルフレジも見える。お客はスマホでアプリをダウンロードし、扉にかざすとカギが開くので店内に入ることができる。一品ごとに張り付けてあるRFIDと呼ばれる札をスキャンして買い物をする方式と聞いていたが、電子棚札しか確認できなかった。お昼時、30分ばかりウォッチしたが、無人の店内には誰も入らず、お客も“無人”だった。
昨年6月「ビンゴボックス」という未来型のコンビニとしてオープンしたが、「電気回路の故障でアイスクリームが溶けたり、欠品や賞味期限の問題が続出し、撤退したと聞いていたけど…」(上海在住の主婦)。模様替えして、再デビューさせた形だ。
人口が日本の14倍近くの中国でも、時間に拘束される「サービス関連」の業務を若者が好まないため、人手不足は深刻だ。そのため期待される「無人コンビニ」だが、「無人運転」同様、超えるべき課題は山ほどあるというのが、実情のようだ。
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