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No.1029-2019/05/20

MD力を反映し、毎期伸び続けるSM業界の客単価

No.1029号

2016年2月期がSMのピーク


  スーパーマーケット系チェーンストアの決算数字を過去6年間について、振り返ると、2016年2月期決算をピークに鈍化傾向がはっきりとしてきている。弊誌では上場企業について、毎期、決算情報を分析しているが、2月期決算企業(アークスの事業会社を合計から除いた24社)では、2019年2月期の営業収益合計は約5兆円で、6期前より約7,750億円増えたが、その伸び率は101.0%で2016年2月期の104.8%から毎期伸び率を鈍化させてきている。経常利益の伸び率も2016年2月期の119.9%をピークに落ちていて、2019年期と2018年期は連続して減益だった。営業収益経常利益率は2.3%。販管費が毎期増加しているためで、販管費率は25.0%にまで上がっている。荒利益率も25.2%と伸びてきているが、既存店売上がやはり2期連続でマイナスに陥っていて減益要因になっている。既存店売上でも2016年期は102.0%と最高値を出し2ケタ増益を実現している。


  総店舗数は毎期、増えていているが、それに連れて1店当り売場面積も6期前の1,938㎡から1,429㎡に3割近くも減っている。競争が激化して、出店適地も減り、小商圏小型フォーマットへの移行がデータ上からも伺える。6年間で1店当り年商のピークはやはり2016年期の約15億円で売場面積は1,863㎡(565坪)。この時期がスーパーマーケットとして適正規模と言われる600坪型店が普通に出せた時代だったと言えそうだ。


  6年間の動きで特徴的なのは、既存店の客数が2016年期を除いて毎期マイナスだったのに対し、客単価は毎期、101%前後で推移、SMが近年、取り組んでいる生鮮・デリカの強化などが奏功しているものとみられる。ただ、午後4時以降のピーク時の来店客数が減少したという企業もあり、コンビニ、ドラッグストアなど異業種との競争激化を反映しているようだ。


  今期は、10月に消費税増税が予定され、節約志向が一層強まるとみられるなか、業界全体としていかに浮上できるか注目される。


今週の目次




流通羅針盤

 中計最終年度、共有力を高め、ハイタッチな店へ挑戦するサミット


SJ決算レポート 2019年2月期決算 SM篇

 増収増益は39%を占める11社。増収14社、増益17社
 既存店売上が一番高いベルクは2.6%増で、5年で20%増
  U.S.M.H 仕入れ統合などで実質19億円のシナジー創出
  マックスバリュ西日本 夕方の時間帯の客数が落ち込み減収大幅減益


今道剛の中国キャッシュレス現地事情レポート[第11回]

 労働力不足を電子マネー、IoTの組み合わせで解消


SJW新店・改装店レポート

 創業の地に食品館として再出店。原点に返り、地域に愛されるお店へ
  イトーヨーカドー食品館 千住店
 伊勢街道沿いの激戦地に拡大出店。日々、欠かせない「創意と工夫」
  オークワ 三雲店
 惣菜中心に青果や精肉、塩干も扱う小型SMとして再スタート
  デイリーテーブル キノクニヤ アトレヴィ三鷹店


食品マーケティング

 三菱食品2019年3月期決算は増収増益
 *課題の物流費削減に新設備投資含め挑戦を進行
 *新事業では「からだシフト」糖質コントロール食品など訴求


マンパワーの育成戦力化とマンアワー確保の処方箋・39

 ― 生産年齢人口(働く人)激減の諸施策 ― 小澤 信夫


今週の大店立地法公示速報


交差点

家庭の紙袋を集めてレジ袋を削減



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