密を避けた新しい生活様式が定着
「中国の武漢で新型肺炎か」――小さな新聞記事が掲載されて1年後、世の中のほぼ全員がマスク姿で過ごすことになろうとは――。 スーパーの役目が再認識され、数字面では伸びを示したが、目下第3波の真っただ中。出口は見えない。本誌の表紙写真から「コロナ禍の1年」を振り返ってみた。
①の写真は福井県で惣菜店とコンビニがドッキングした「ダイニングコンビニ」を展開する大津屋で撮影。AIを使って惣菜の計量とレジ精算をする計量器を紹介するものだ。「スーパーマーケットトレードショー」につなげる話題として取り上げた。「普通の年」はこの辺りまでだった。
3月に入ると、新型コロナウイルスの感染拡大が顕著になり、インバウンド需要はなくなった。スーパーやドラッグストアの棚からマスクが消え、トイレットペーパーにも買い占めが及んだ。小中高校の一斉休校で余った学校給食用の牛乳がライフなどで販売された。
4月に入り「全国緊急事態宣言」が出された。レジ前にビニール製の間仕切りが設置され、床にテープを貼って「密接」を回避する策が取られた。スーパーを代表する3団体が「新しい買い物スタイル」を提唱するポスターを配布したのもこのころだ。
5月28日、緊急事態宣言の全面解除を受け、イオンモールなどが全国で営業を再開した。出入り口での検温や館内の「3密」を避けるための基準を制定。「長く滞在せず、買い物を楽しめる、新たな生活様式」が標準になった。
秋からは、第3波が始まった。自粛と緩和を繰り返して冬を迎えたが、年末どころか、新年も見通せない。来年も「密」を避けるのが一番の対策だ。欧米でワクチンの接種が始まったのがわずかな光明と言える。
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